ソロ登山に興味はあるけれど、「一人で山に入るのは怖い」と感じている方も多いのではないでしょうか。
私も60代でソロ登山を始めたばかりの頃は、登山道で一人になった瞬間、急に心細くなったことがありました。ちょっとしたことで不安になっていました。
でも今は、その”怖さ”とうまく付き合いながら、毎月山を楽しんでいます。
その”怖さ”には必ず理由があり、事前に知っておくことで不安は大きく減らせます。
この記事では、私が実際に怖いと感じた瞬間を5つ紹介しながら、その時どう考え、どう対処しているかをお伝えします。
ソロ登山が怖いと感じる瞬間5選
周囲に誰もいない時
忘れられない夜があります。
大雪山のテン場に着いたとき、テントは私のひとつだけでした。いつもなら賑わっているはずの人気のテン場が、悪天候のせいで誰もいない。他の登山者はみんな撤退していたんです。
風の音、雨がテントを叩く音……。静かなはずなのに、妙に音がうるさい夜でした。
「もし夜中に何かあっても、ここには誰もいない」——その事実が、じわじわと不安になってくる。人気のテン場なのに、こんなに怖いのかと思いました。
私がその夜やったことは、**「早めに寝てしまうこと」**でした。考えれば考えるほど怖くなる。だから、さっさと寝てしまう。これが意外と正解でした。
翌朝は霧に包まれ見通しが悪かったけれど、明るくなった山は昨夜とまったく別の顔をしていました。早朝に静かに出発した時の、あの清々しさは今でも忘れられません。
怖い夜を一人で越えたこと——それが、私の一番の自信になっています。
対策:人がいる時間帯を選ぶ・早めに就寝して判断力を温存する
音に敏感になる時
静かな山道で、ふと気づく。自分の足音が岩に反響して返ってくる。
最初は「誰かいる?」とドキッとしました。立ち止まると音も止まる。また歩くと聞こえてくる。——それが自分の足音だと気づくまで、少し時間がかかりました。
草木がカサカサと揺れる音も、慣れないうちは心臓が跳ね上がります。風なのか、動物なのか、それとも……と想像が膨らんでしまう。
対策は**「音の正体を確かめる習慣」**を持つことです。立ち止まって深呼吸し、耳を澄ませる。ほとんどの場合、風か自分が立てた音です。山の音に慣れてくると、それが心地よいBGMに変わります。
対策:立ち止まって深呼吸・音の正体を冷静に確認する
道に迷いそうになった時
分岐に立ったとき、標識が古くて読めない——そんな瞬間の心細さは、経験した人にしかわからないと思います。
私が今一番頼りにしているのが YAMAP(ヤマップ) です。電波がなくても現在地がGPSで確認できるので、「今ここにいる」とわかるだけで気持ちがスッと落ち着きます。地図を見ながら冷静に判断できるようになりました。
道迷いで大切なのは、迷ったと気づいた瞬間に立ち止まること。「少し進めばわかるかも」という判断が、遭難につながります。不安を感じたら戻る勇気を持つことが、ソロ登山では特に重要です。
💡 YAMAPはアプリをダウンロードして無料で使い始められます。まだ使っていない方はぜひ試してみてください。
対策:YAMAPで現在地を常に確認・迷ったと思ったら即立ち止まる
天気が急に変わった時
テントを設営しているとき、突然の強風が来ました。
ペグを打っても打っても、テントがバタバタと暴れてまるで飛ばされそうな勢い。格闘しているうちにどんどん時間が過ぎ、気づいたら空が薄暗くなり始めていました。
そのとき私は撤退を決断しました。
悔しかったけれど、あの判断は正解だったと今でも思っています。暗くなってからの山は、昼間とはまったく別の危険があります。「また来ればいい」——その一言が、自分を守ってくれました。
天気の急変に備えて、私が意識していることが2つあります。テント設営は明るいうちに余裕を持って終わらせること、そして**「撤退ライン」を事前に決めておくこと**です。迷ったときではなく、出発前に決めておくのがポイントです。
対策:撤退ラインを出発前に決める・設営は明るいうちに余裕を持って
トイレに行きたくなった時
ソロ登山の女性が一番リアルに困る問題、正直に話します。
長い稜線では、隠れる木が一本もありません。見渡す限り空と草原——美しいけれど、トイレ問題においてはこれが一番の難所でした。
私が行き着いた答えは、紙おむつの使用です。
最初は抵抗がありました。でも使ってみたら、これが本当に快適で。「いつでも大丈夫」という安心感があると、歩くことに集中できる。判断力も上がります。トイレの心配がなくなっただけで、稜線歩きへの苦手意識がなくなりました。
恥ずかしいことではありません。これはれっきとした登山装備のひとつだと私は思っています。
対策:紙おむつを登山装備として活用・事前にトイレ問題の「答え」を持っておく
私が実際に使っているものはこちらです。
登山中の「どうしよう」という不安がなくなるだけで、安心して歩けるようになりました。
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怖さは「知ること」で軽くなる
怖さの正体は、ほとんどの場合「未知」です。
音の正体がわかれば怖くない。天気の変わり方のパターンを知っていれば判断できる。道迷いのリスクをアプリで補えば安心できる。——経験を重ねるたびに、怖さが少しずつ「知識」に変わっていきます。
私も最初はビクビクしていた大雪山のテン場が、今では「あの夜があったから今がある」と思える場所になりました。怖さは、乗り越えた数だけ自信に変わります。
準備と知識で9割の不安は消えます。残りの1割は、山が教えてくれます。
それでもソロ登山を楽しめる理由
怖い瞬間があっても、私がソロ登山をやめない理由があります。
誰かに合わせなくていい。自分のペースで歩いて、自分が見たい景色で足を止める。疲れたら休む、もっと歩きたければ歩く。全部、自分で決められる自由があります。
そして静かな山の中にいると、頭の中がスッキリします。日常の雑音から離れて、自分と向き合える時間——60代になってから、その時間の贅沢さがよりわかるようになりました。
ひとつの山を登り切ったとき、「自分でやった」という達成感は誰にも渡せません。その感覚のために、また山に行きたくなるんです。
まとめ
今回紹介した5つの「怖い瞬間」、あなたはいくつ共感しましたか?
怖いと感じるのは、山を真剣に考えている証拠です。その感覚は大切にしながら、準備と知識で一つひとつ不安を減らしていきましょう。
一番大切なのは、無理をしないこと。撤退は失敗じゃない、経験です。



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