60代ソロ登山で気づいた「判断が止まる本当の理由」
―50代・60代 女性ソロ登山者向け―
はじめに|準備していたのに、動けなかった日
「装備は揃っているのに、判断できない」
それは、60代のソロ登山で私が一番怖いと感じた瞬間でした。
「準備はできているはずなのに、なぜか一歩が出ない」
そんな日が、私にはありました。
熊鈴も、地図も、匂い対策も、時計も。
これまでの経験から「必要だ」と思う道具は、すべて揃えていました。
それなのに、
進むのか、引き返すのか、立ち止まるのか。
どれも選べず、その場で時間だけが過ぎていったのです。
この記事は、
道具は揃っていたのに判断できなかった日の体験談です。
そして、そこから私が何を学び、どう判断を変えたのかを正直に書いています。
【準備万端でも不安】私の装備リストと落とし穴
その日の装備は、今思い返しても不足はありませんでした。
- 熊鈴(複数)
- ホイッスル
- 地図アプリ+紙地図
- 匂い対策をした行動食
- 時間管理のための時計
「これだけ準備していれば大丈夫」
そう思っていました。
でも、ここに落とし穴がありました。
準備していること自体が、判断を甘くしていたのです。
【なぜ使えなかった?】道具が宝の持ち腐れになる瞬間
■ 熊鈴|「進む前に立ち止まる」ための合図
私は熊鈴を、
熊を追い払うための道具だとは思っていません。
・音が鳴っているかを確認するために立ち止まる
・無意識に歩き続けるのを止める
・「今、判断できているか?」を自分に問い直す
そのための道具です。
特に、
・人の気配が消えた瞬間
・沢音や風音で周囲が分からなくなったとき
・「このまま行っていいのか」と迷ったとき
私は必ず足を止めて、熊鈴の音を確認します。
👉私が実際に使っている熊鈴

違和感は、確かにありました。
- 足音が消えたときの不自然な静けさ
- 見通しの悪い場所に入る前の胸騒ぎ
- いつもより集中できていない感覚
それでも私は、
熊鈴も、ホイッスルも、地図も使わずに立ち尽くしていました。
なぜか。
それは、
道具を使うことは、引き返す判断を認めることだと、
無意識に思っていたのだと思います。
「まだ行けるかもしれない」
その可能性を否定したくなくて、
道具を使う判断ができませんでした。
このときの迷いは、あとから振り返ると「判断ミス」そのものでした。
【行動できなかった本当の理由】それは“覚悟”の不足
今なら、はっきり分かります。
判断できなかった本当の原因は、
引き返す覚悟を事前に決めていなかったことでした。
- どんな違和感で止まるのか
- どの時点で引き返すのか
- どこまで来たら戻るのか
それを言葉にしていなかったから、
その場で迷いました。
道具があっても、
判断の基準がなければ動けません。
【今なら迷わない】私が決めている3つの基準
今、同じ状況に立ったら。
私は迷いません。
判断基準は、たった3つです。
- 違和感を感じたら、必ず止まる
- 迷った時点で、引き返す選択を優先する
- 道具は「進むため」ではなく「止まるため」に使う
熊鈴を鳴らす。
ホイッスルを吹く。
地図を確認する。
それは、撤退の失敗ではありません。
正しい判断ができた証拠です。
この判断を支えてくれているのが、私が実際に使っている道具たちです。
👉【体験談】判断を迷わせないために私が頼っている道具たち
【道具と判断】どちらか欠けたら命に関わる
この経験から、私の中で整理できたことがあります。
- 道具だけでは判断できない
- 判断基準だけでも不十分
- 道具と判断は、必ずセットで考える
道具は安心材料ではありません。
判断をシンプルにし、迷いを減らすためのものです。
【まとめ】登山道具は“安心”じゃなく“決断”のために使う
装備は万全だったのに、判断できなかった日。
その経験があったから、今の私があります。
- 道具は「持つ」だけでは意味がない
- 使う覚悟があって、初めて力になる
- 判断できたかどうかが、安全を分ける
ソロ登山では、
誰も代わりに決めてくれません。
だからこそ、
道具を持つ前に、判断を決めておく。
それが、
60代の私が山を続けている理由です。
山で一番難しいのは、
「登ること」ではなく
**「やめる判断」**だと、私は感じています。
無事に帰ることが、いちばんの成功。



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