はじめに|一人で山に入るとき、ふと怖くなる瞬間
一人で山に入り、ふと足音が止まった瞬間の「シーン」とした静寂。
熊の気配や、道迷いへの不安が襲ってくることはありませんか?
一人で歩いていると、
自分の足音だけが一定のリズムで聞こえます。
ザックが揺れる音。
息遣い。
靴が地面を踏む感触。
でも、ある瞬間——
すべての音が消えることがあります。
ふと立ち止まったとき、
風もない。
鳥の声もしない。
山が、急に「静かすぎる」。
そのとき胸の奥に、
言葉にしにくい怖さが広がりました。
熊かもしれない。
気のせいかもしれない。
怖がりすぎたくない自分もいる。
恐怖は「安全を守るためのセンサー」と考える。
• 怖がることは恥ずかしいことではなく、リスクを察知する大切な能力。
• 「怖い」と感じた時こそ、装備の再確認や周囲の観察を丁寧に行うスイッチにする。
ソロ登山では、
こうした「一瞬の怖さ」と
何度も向き合うことになります。
56歳で登山を始め、経験を重ねても「怖い」は消えなかった
私は56歳で登山を始めました。
少しずつ距離を伸ばし、
経験を積み、
多くの山を歩いてきました。
それでも、
今でも「怖い」と思う瞬間はあります。
経験を積めば、
怖さが消えると思っていた時期もありました。
でも実際は違いました。
怖さは、経験では消えません。
むしろ、
経験を重ねるほど
「何が起こり得るか」を知ってしまう分、
怖さは形を変えて残ります。
足音が消えた瞬間の「完全な静寂」
一人で歩いていて、
立ち止まった瞬間に訪れる
あの、張りつめた静けさ。
振り返りたくなる。
でも、振り返るのも怖い。
「気のせいだろう」
そう思いたくなる自分と、
「何かおかしい」と感じる自分。
以前の私は、
この違和感をやり過ごしていました。
でも今は、
はっきり決めていることがあります。
判断ルール①
「違和感を感じたら、必ず一度止まる」。
進みながら考えると、
判断は必ず雑になります。
だから私は、
この静けさを感じたら
必ず立ち止まるようにしています。
深呼吸をして、
音を出して、
自分の判断を取り戻す。
. 私が山で実践している「心の落ち着かせ方」
• 五感を意識的に使う: 遠くの景色を見る、冷たい空気を深く吸うなど、意識を「不安」から「現在」に戻す。
• 自分に声を出す: 「大丈夫、落ち着いて」「ここで一旦お茶を飲もう」と独り言を言うことで、客観的な自分を取り戻す。
怖さは、
止まる理由になっていい。
そう思います。
見通しの悪い場所で感じる「距離が縮む怖さ」
笹薮。
沢沿い。
カーブの先が見えない登山道。
頭では
「ここは注意が必要」と分かっていても、
足は無意識に前へ出てしまいます。
「すぐ抜けるから」
「大丈夫だろう」
でも、
こういう場所こそ
距離が一気に縮みます。
私は、経験を重ねた今でも
こうした場所では怖さを感じます。
判断ルール②
「怖い場所では、スピードを落とす」。
怖いときほど、
人は早く動いてしまいます。
だから私は、
あえて歩幅を小さくし、
音を出し、
曲がり角の手前で一度止まります。
怖さは、
スピードを調整するための合図。
そう捉えるようになってから、
焦りは減りました。
「ここで倒れたら誰も来ない」という孤独
誰ともすれ違わない日。
電波も不安定。
風の音だけが聞こえる。
自由で、静かで、
好きなはずのソロ登山。
でも、ふと頭をよぎるのは、
「もし、ここで何かあったら——」
助けを呼べない。
相談できない。
決めるのは、すべて自分。
この孤独こそが、
ソロ登山で一番重く感じる怖さでした。
判断ルール③
「一人で決める日は、早めに引き返す」
誰かがいれば、
「やめた方がいい」と言ってもらえたかもしれない。
でもソロでは、
その声は自分で用意するしかありません。
だから私は、
不安を感じたら理由を探さず、
早めに引き返すことにしています。
早く戻る判断ほど、
実は一番勇気が要ります。
怖さは、消さなくていい
ソロ登山の怖さは、
弱さではありません。
私にとって怖さは、
判断を間違えないための感覚です。
- 違和感を感じたら止まる
- 怖い場所ではゆっくり進む
- 一人のときは早めに引き返す
このルールがあることで、
私は今も山に向き合えています。
👉安全登山に必要なリストを分かりやすく
解説、PDF 記載されています。
まとめ|怖さと一緒に、山を歩く
怖さを消そうとしなくていい。
無理に強がらなくていい。
怖さに気づき、
立ち止まり、
行動を変える。
それが、
60代の私が続けている
安全なソロ登山のかたちです。
もし今、
一人で山に入ることに
少しでも不安を感じているなら。
それは、
あなたが真剣に山と向き合っている証拠です。
怖さは、
あなたを守ろうとしています。
山で孤独を感じ、怖くなったとき。
私は、家で待っている相棒の顔を思い出します。

待ってるよ




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